チャーターメンバーである蟻田尚邦会員が3月18日(金)にご逝去なさいました。(享年69歳)


蟻田尚邦さんを想う

 あなたが何回も病床に伏されて以来、ご家族ご親族の皆様方の献身的なご看病の甲斐もなく、またひたすらにあなたのご快癒を祈っておりました私共の切なる願いもむなしく、あなたは遂に不帰の客となられました。
生者必滅の習いとは申しながら、こんなに早くお別れをすることになろうとは、なんと悲しいことでありましょう。

 あなたとの印象的な出会いは、わがクラブの10周年のときにあなたが会計をされて入会したばかりの私がサブで仕事をさせていただいたときです。あなたは「頼むわ」の一言でほとんどの業務を私に任せていただきました。その役目が終わったときに、細川さんたちと美味しい中華料理をご馳走になったことが今でも忘れられません。
 また、25周年の松田会長のときに職業奉仕の卓話をお願いしたところ、「大勢の前ではようしゃべらんから少人数で膝を交えて一杯飲みながらなら」ということで、千人代官で20人弱のメンバーを前に、昭和44年の創業依頼の経営のお話を聴かせていただきました。「クレープ・シュゼットというデザートの青白い炎に魅せられてデザートの世界へ入った」「フランス人も納得するおいしいお菓子をつくりたいと思った」「社長は、人生観として60才になったら辞めたいと思っていた」「わしは運がよく、いろんなところでつきがあったと思う」などなど興味深く拝聴したのが昨日のことのようです。あなたは、5名でスタートされたアンリ・シャルパンティエの小さな喫茶店を、今や国内に約50店舗を展開しパリにもラボを設けられて年商170億の大デザートメーカーに育て上げられた、日本でも数少ない立派な経営者です。アンリの社長業を現在の社長に任されたあとは、クールアースという会社を設立されて、ブランドマネジメントや商品開発に注力されて来ました。気さくなそんなお姿から、あなたが凄腕の経営者というより一人のプロデザートデザイナーのように思えてなりませんでした。ゴルフでも短期間に腕を上げられた集中力や奧様と連名でいただく毎回違うデザインの暑中見舞いと年賀状などにもあなたの人並外れた強い拘りを感じていました。

 私たちには何時もニコニコと細い目をなお細めて笑いながら元気なお顔をみせておられましたが、もはやそのお顔に接することも出来ません。誠に痛恨の極みでございます。
ひたすらにご冥福をお祈り申しあげる次第でございます。
どうぞ安らかにお眠りください。               合掌

               会長 和田 要